成年後見制度の中の「任意後見」 活用する前にまずは知ることが重要です

こんにちは。

許認可申請と福祉の専門家、平松智実法務事務所の平松智実です。

 

成年後見制度についての認知度は少しずつ上がっており、利用者の数も増加傾向にあります。成年後見制度は法定後見(後見、保佐、補助)と任意後見の2つに分かれますが、大きな違いは利用するタイミングと後見人等の専任についてです。

 

法定後見は判断能力が低下または判断能力がなくなった後に利用するもので、四親等以内の親族などが「申し立て」をすることから始まります。それに対して任意後見は判断能力が十分あるうちに自分で「契約」を結び、将来認知症などにより判断能力が低下したりなくなったりしたときに備えるというものです。

 

成年後見制度を利用する上で後見人等が誰になるかというのはとても重要な問題です。この点についても法定後見と任意後見では異なります。法定後見は上記の通り申し立てをすることで家庭裁判所が後見人等を選任します。後見人等になってほしい人を「候補者」として申し立てることはできますが、その人が必ず選ばれるという訳ではありません。

 

逆に任意後見は自分で信頼できる人を見つけてその人と契約をすることになるので、後見人は自分で決めることができます。また、誰に後見人を頼むかに加え、どのような内容について自分の代理をしてもらうかなど後見人の仕事内容についても決定し契約することができます。

 

任意後見のデメリットは、取消権がないことでしょうか。法定後見の場合は自分に不利な契約をしてしまったときにその契約を取り消すことができます。これを取消権と言います。任意後見の場合は判断を誤ってしまい契約をしてしまったとしても法定後見のような取消権ありませんので、原則としてその契約は有効となります。

 

また、費用面を比較すると法定後見も任意後見人も後見人、後見監督人への報酬がそれぞれ毎月2万円程度かかります。ただ、法定後見の場合は後見監督人が選任されないことがあるのに対し任意後見の場合は必ず後見監督人が選任されます。したがって任意後見の方が費用としては多く必要になることが多いと思われます。

 

その他、申し立ての費用についても任意後見は公正証書を作成する必要があるためその費用も数万円必要になります。法定後見は申し立ての費用が7,000円ほどかかります。

 

どちらが良い悪いということではなく任意後見は将来のための備えであるのに対して法定後見は現在の状況への対策といったそれぞれ別の目的があります。認知症になってしまったときに誰が支援をしてくれるのかという不安に対しては任意後見は有効だと思います。ご連絡いただければ、現在の状況を伺ったうえで、どのような対応が適切か最善の提案をさせていただきます。

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