こんにちは。
許認可申請と福祉の専門家、平松智実法務事務所の平松智実です。
成年後見制度の活用方法として、知的障害や認知症などにより判断能力が低下したことで、不利益を被ることが想定される場合にそれを避けるためということが考えられます。例えば、判断能力が低いことに付け込まれ、高価で必要のないものを購入する契約をさせられてしまった際に、この契約を取り消すというようなケースです。
契約等を取り消すことができる権利のことを取消権と呼びますが、この権利があるのは、成年後見制度の類型である任意後見、法定後見の後見、保佐、補助の中で、後見類型のみ、つまり後見人だけが被後見人のために取消権を行使することができます。成年被後見人は常に判断能力を欠いている方が該当するため、「日用品の購入、その他日常に関する行為(民法9条)」以外は後見人が取り消すことが可能です。
保佐や補助の類型では財産に関する重大な行為について保佐人や補助人の同意が必要であり、同意なくした行為については取り消しうるとされており、同意権の対象となる行為は民法で規定されているため、後見類型の取消権とはそもそも異なることに加え、対象となる範囲が狭くなっています。任意後見にいたってはこのような権利は認められていません。
万が一のことを考え、取消権がある後見類型が良いと考える方もいらっしゃるかもしれませんが、この点についてはよく考えなければなりません。確かに、後見の類型は不要なものを買わされてしまう、不利な契約を結ばされてしまうといったことを想定し、取消権があれば安心ではありますが、逆に言えば自分自身の判断でできることが制限されているということです。
保護の厚さというのは権利の制限、つまりできることが減ることであるとも言えます。成年後見制度の利用状況を見てみると後見類型の利用が圧倒的多数で75%ほどです。実際に後見類型が適当である方であれば問題ありませんが、そうでないことも少なくないのが現状で、成年後見制度の利用=後見類型としてしまうこともあるのではないかと思います。
保護の面に目を向けることと同時にご本人の権利、できることについても十分に考えなければなりません。成年後見制度の利用にはこのような難しもあるので、申し立てをする前に制度の主旨やメリットについて検討することが重要です。
平松智実法務事務所では知的障害のある方の成年後見制度の利用のお手伝いに力を入れています。知的障害のある方の入所施設、生活介護事業所で約10年間勤務した経験、介護福祉士資格を活かしてご相談をお受けしています。現状について十分に聞き取りをさせていただいた上で最適なご提案をさせていただいております。お気軽にご連絡ください!
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