こんにちは。
許認可申請と福祉の専門家、平松智実法務事務所の平松智実です。
法定成年後見には後見、保佐、補助の3つの類型があります。後見は「判断能力を欠く常況にある方」、保佐は「判断能力が著しく十分な方」、補助は「判断能力が不十分な方」を対象としています。3つの類型の中では後見の類型を利用している方がもっとも多く、8割ほどを占めています。
しかし、成年後見制度の理念である「自己決定権の尊重」が達成されるためには保佐の類型の活用が必要です。そこで今回は成年後見制度の中の法定後見の保佐類型について解説していきたいと思います。
知的障害や認知症などにより成年後見制度の保佐類型を利用している人を被保佐人と言いますが、被保佐人は大きな金額の取引など財産に関する重大な行為をするためには、被保佐人を支援する人=保佐人の同意が必要です。ただし、日用品の購入などについては例外となっています。
民法13条1項を引用します。
1.被保佐人が次に掲げる行為をするには、その保佐人の同意を得なければならない。ただし、第9条ただし書に規定する行為については、この限りでない。
①元本を領収し、又は利用すること。
②借財又は保証をすること。
③不動産その他重要な財産に関する権利の得喪を目的とする行為をすること。
④訴訟行為をすること。
⑤贈与、和解又は仲裁合意をすること。
⑥相続の承認若しくは放棄又は遺産の分割をすること。
⑦贈与の申込みを拒絶し、遺贈を放棄し、負担付贈与の申込みを承諾し、又は負担付遺贈を承認すること。
⑧新築、改築、増築又は大修繕をすること。
⑨第602条に定める期間を超える賃貸借をすること。
もし被保佐人が保佐人の同意を得ないで上に書かれている行為を行った場合は、保佐人はこの行為を取り消すことができます。つまり、同意が必要な行為について保佐人が同意していない場合にだけ取り消せるということです。保佐人の行為を常に取り消せるという訳ではないのです。(同意なし⇒取消権というイメージです。)
まとめると、同意権は保佐人が被保佐人の行為に同意できる権利、取消権は保佐人の同意のない被保佐人の13条1項の行為について取り消すことができる権利ということになります。
保佐類型は、財産等に関わる重大な行為については保護し被保佐人に不利益がないようにしながら、自分のことは自分で決めて自分で行うことのできます。後見に比べて保護の範囲が狭い分、自己決定が尊重されていると言えるでしょう。
もちろん、必ずしも保佐の類型が良いという訳ではなく、利用される方の状況に応じてもっとも適した類型を選ぶべきであることは言うまでもありません。どの類型にするべきか、そもそも成年後見制度を利用するべきかなどで迷ったら、お気軽にご相談ください!
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