こんにちは。
許認可申請と福祉の専門家、平松智実法務事務所の平松智実です。
現在の成年後見制度の発足は平成12年、今から20年前にさかのぼります。従来の成年後見制度である「禁治産」「準禁治産」の制度が「後見」「保佐」「補助」の三つの類型に改められ、同時に将来の判断能力の低下に備える「任意後見」の制度も併せて発足しました。
制度改正の大きなポイントは身上配慮義務が重視されているところです。民法858条には「成年後見人は、成年被後見人の生活、療養看護及び財産の管理に関する事務を行うに当たっては、成年被後見人の意思を尊重し、かつ、その心身の状態及び生活の状況に配慮しなければならない。」と定められています。
この858条などから成年後見制度の理念が5つ挙げられています。
①自己決定の尊重
後見人が勝手に決めるのではなく成年被後見人の意思を尊重し、成年被後見人の意思を引き出す工夫もひつようとなります。成年後見制度の理念の中で最も重要であると言えます。
②ノーマライゼーション
成年被後見人が健常者と同一の条件で生活ができるように配慮し必要なものを整備することです。
③エンパワメント
残存能力の活用とも言います。もともと持っている能力をできるだけ利用するように配慮し支援するということです。
④必要性の原則
権利に対する干渉は必要最小限度にとどめるという原則です。成年被後見人の行為は日常生活に関するものを除いて後見人が取り消すことができますが、このような干渉は最小限にする必要があります。
⑤補充性の原則
成年後見制度のによる保護はその他の私的、公的な援助に対して補充的なものであるべきという原則です。
成年後見人、保佐人、補助人(成年後見人等)になるために資格がある訳ではありません。原則としては誰でもなることができます。つまり、成年後見制度の理念=どのように成年被後見人等の支援をするべきかといったことを知らなかったとしても成年後見人等になることができるということです。
成年後見制度を利用する上での肝は誰が後見人になるかということと言っても過言ではありません。成年後見制度の理念を知っているから成年後見人等として適任という訳ではありませんが、成年後見人等を選ぶ際にこのようなことをしっかりと理解しているかということを一つの基準としてみても良いのではないでしょうか。
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