おはようございます。
許認可申請と福祉の専門家、平松智実法務事務所の平松智実です。
成年後見制度は知的障害や認知症により判断能力が欠如、または低下している方に代わって意思決定のお手伝いをしたり契約をしたりする後見人を選任するというものです。言うまでもなく後見人には高い倫理観と知識が必要となるので裁判所に選任された人でなければ後見人になることはできません。
後見人は知的障害や認知症のご本人の代理人で、家族や親族ができないこともできてしまうということをしっかりとおさえておかなければなりません。預金の引き出しや不動産の処分なども身近で血のつながりのある人はできないのに後見人はできてしまいます。
成年後見制度利用の肝は誰が後見人になるかということであると言っても過言ではありません。トラブルの多くは後見人と家族や親族との見解の相違が発端になっています。後見人は家族や親族のためではなく知的障害や認知症のご本人のために適切な判断をするということがあまり理解されていないために問題が起こるということもあります。
ただ、何かを判断する必要があるときにどちらが良いのかとても悩ましいこともあります。例えば次のような場合です。
[知的障害のあるAさんはプレミアのついた貴重なミニカーを集めるのが趣味です。集めるといっても飾る訳でもなくミニカーで遊ぶわけでもなく大事にしまってあります。ミニカーを買うことでお金がなくなりいますぐに生活ができなくなるということはありません。これからお金が必要になることもあるから、後見人にこのような無駄遣いをやめさせてほしいと家族は言っています。]
財産状況に余裕があるのだからご本人のしたいことをしてもらおうというのが一つの考え方で、成年後見制度の基本的な考え方であるご本人の意思の尊重に合致していると言えます。しかし、これから病気になってお金がかかるかもしれないから、趣味はほどほどにしてお金をためておいた方が良いという考えも否定できるものではないでしょう。
また、使いもしないミニカーを買うのは無駄だからお金があろうがなかろうがやめてもらおうと考える後見人もいるかもしれません。
では、どの判断がもっとも正しいのでしょうか。何も考えずとりあえずやめてもらおうというのはあまり選ばないかもしれませんが、どれが一番でこれ以外は選択できないということはないと思います。このようなところで家族と後見人の意見の相違がでてきてしまいます。
「医療費をできるだけ残しておいた方が良いと思う後見人とやりたいことをやらせてほしいと思う家族」という先ほどとは逆のパターンになることもあり得ます。こうしたときにどう選択するかは後見人に任されており、どのような選択をしても問題がないのです。
つまり、後見人はどのような人が良いのかという問いの一つの答えは、物事、金銭に対する家族の感覚を理解しバランスの取れる人と言えるのではないでしょうか。さらに語弊を恐れず言えば、感覚の近い、似ている人です。このような人が後見人になることで、ご本人のためそしてご本人の幸せを願う家族のための判断ができると思います。
とはいっても家族の判断を尊重するのではなくあくまでもご本人を中心にして考え、最終的にどのような判断をするかを決定しますので、相違がまったくないとは言えませんが、ご本人に関係する人の多くが納得できる判断ができるようになると考えています。
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