こんにちは。
許認可申請と福祉の専門家、平松智実法務事務所の平松智実です。
遺言書の形式として一般的なものに自筆証書遺言と公正証書遺言の2種類があります。公正証書遺言の場合は作成の際に自分だけでなく必ず第三者が関与することになるので、その人にわからないことを尋ねられますが、自筆証書遺言は自分だけで作成し完結するため、どうすれば良いか迷うこともあるかと思います。
今回は遺言について、ケース別に対応方法をご説明してきます。
①作成した遺言を取り消したいとき
新しい遺言は古い遺言に優先するという原則があるため、作成した遺言を取り消したいときは新しく遺言を作成すれば前に作成した遺言は取り消されたことになります。この他、遺言後に遺言と矛盾する行為をした場合、遺言を故意に破棄した場合も遺言を取り消したことになります。
遺言後に遺言と矛盾する行為をするとは、自分の住んでいる家をAに相続させるという内容の遺言を作成した後にその家を第三者に売却したというような場合です。この行為により住んでいる家をAに相続させるという部分は取り消したことになります。
遺言を故意に破棄した場合とは、遺言書を燃やすや捨てるなどのほか文面全体に赤いボールペンで斜線を引いてもその遺言は無効になるという判決が出ています。ただ、一旦遺言を作成したのであれば取り消すときは新しい遺言を作成するほうが良いと思います。
②遺産分割後に遺言が見つかったとき
この場合、原則として遺産分割は無効となります。遺言が見つかったことにより相続人が増える可能性(認知や廃除、廃除の取り消しをする遺言)や分割の対象となる財産が増減する可能性(特定の誰かに遺贈する内容の遺言など)があるからです。
1000万円の相続財産を配偶者と子2人で相続したケースを考えてみます。遺言がないものとして配偶者が500万円、子が250万円ずつ受け取る遺産分割をした後に、第三者に300万円遺贈する内容の遺言が見つかれば相続財産の額が変わるので遺産分割はやり直しとなります。
③遺言書が2通あった場合
遺言が法律的に有効に作成されていればどちらの遺言も有効です。自筆証書遺言には必ず日付を記載することになっているので、2つの遺言の内容に矛盾がある箇所については日付の先後でどちらの遺言が有効か決まります。当然、日付に新しいものが有効となります。
遺言は遺産相続を円滑に行えるように作成するという意味もあります。混乱させることのないよう遺言を作成しておくようにしましょう。
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