いつから始めるべき?~知的障害のある方の親なき後の対策としての成年後見制度の利用~

こんにちは。

許認可申請と福祉の専門家、平松智実法務事務所の平松智実です。

 

親なき後の対策を考えるときに成年後見制度の利用という選択肢は外せません。もちろん知的障害の程度により成年後見制度を利用しなくても良いケースもあるとは思いますし、成年後見制度についてのネガティブな印象がある方もいるとは思いますが、それでも成年後見人が知的障害のある方の支援をするというのが、知的障害のある方の親なき後の対策としてもっとも有効であるのは成年後見制度の利用だと考えます。

 

そう考えると、いつから成年後見制度の利用つまり申し立てをするのかという問題になります。親御さんやご兄弟など知的障害のある方ご本人の支援者が元気なうちは、相続などで後見人が必要になる場合などを除いて成年後見制度の申し立てはしなくても良いと思います。

 

ただ、申し立てをしないということと準備をしないということは違います。今、知的障害のあるご本人を支援している方が支援をすることができなくなった時にすぐに申し立てができるようにしておく必要があります。「すぐに申し立てができる」とは書類を書くことができるということではなく、候補者を誰にするのかを決めておくということです。

 

成年後見制度の利用においてもっとも肝となるのが後見人を誰にするかということです。最終的には裁判所が選任するので希望した人が後見人になるとは限りませんが、知的障害のある方ご本人を長い間支援してきた人が責任をもって自分の代役を決めておかなければなりません。

 

「自分が元気なうちは後見人はいらない」と皆さんおっしゃいますし、まさにその通りだと思います。しかし、自分が元気でなくなった時にすぐにバトンタッチできるようにしておかなければなりません。後見人を誰にすることが知的障害のあるご本人のためになるのかということや、いつまで支援することができるのかなども含めて考える必要があります。

 

親族を後見人にするという選択肢もあります。そのときは、知的障害のある方より先に後見人が亡くなることや認知症になることも考慮すべきです。知的障害のある方の場合は親族はご本人より高齢であることが多いのではないでしょうか。

 

親なき後については、長い期間をかけて準備しておきそのときに備えるということが大事です。成年後見の制度についての知識はもちろんその他の選択肢も踏まえた上で、親なき後のことを考えることが知的障害のある方ご本人の人生の質(QOL)の向上につながります。

 

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