おはようございます。
許認可申請と福祉の専門家、平松智実法務事務所の平松智実です。
知的障害や認知症などにより判断能力が低下していたりなくなってしまっていたりするときに、本人に代わって財産管理や福祉サービスの契約などをしてくれる人を選任するのが成年後見制度です。この制度を利用するためには、申し立てをしなければなりません。
今回は成年後見制度の申し立て状況の推移や利用する動機、成年後見人等(後見人、保佐人、補助人)の担い手、成年後見制度の課題についてお話していきたいと思います。
現在、東京都では成年後見制度の利用者が25,885人います(平成30年12月31日現在)。申立件数は全国的にはほぼ横ばいの状態、東京都に限って言えばやや減少傾向にあります。
<全国の申立件数>
平成28年:34,249件
平成29年:35,737件
平成30年:36,549件
<東京都の申立件数>
平成28年:5,076件
平成29年:5,071件
平成30年:4,964件
成年後見制度を利用する動機としてもっとも多いのは預貯金の管理・解約のため、次いで福祉サービスの契約のためとなっています。申立件数が全体的に伸びていないのは、預貯金の管理や福祉サービスの契約を代理することの需要が減ったわけではなく、むしろ必要性は増しています。
申立件数が伸びない理由として、申し立て手続きが煩雑であることや後見人の受け手がいない、費用の問題などが挙げられます。成年後見制度を利用するためには裁判所への申し立てが必要となり、そのために必要な書類や手続きがいくつかあります。
申し立てをすれば裁判所が必ず後見人等を選任するので、後見人になってくれる人がいないからこの制度を利用できないということではなく、信頼できる人に後見人等になってもらいたいがそのような人が見つからないということだと思われます。
費用については、申し立てをする際に専門職に依頼すればその費用もかかりますし、毎月の後見人等に対する報酬も最低で2万円程度と決して安くはありません。ただ、申し立て費用や後見人等への報酬については、自治体により助成制度があるので、それを利用するのも良いのではないでしょうか。また、後見人等に対する報酬のあり方については議論されており、報酬体系が変わることが予想されます。
成年後見制度は自分では適切な判断が難しい知的障害のある方や認知症の方をサポートするとても良い制度なのですが、欠点があることも否めません。しかし、その欠点は制度についての理解や後見人等の探し方、選び方、自治体の助成制度の活用などで大部分をカバーすることができると考えています。
成年後見制度を正しく理解し活用することで知的障害のある方、認知症の方のQOL(人生の質)の口上に間違いなく役立ちます。
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