利用者の増加が見込まれている“補助”と“保佐” ~成年後見制度~

こんにちは。

許認可申請と福祉の専門家、平松智実法務事務所の平松智実です。

 

成年後見制度の種類は任意後見と法定後見の2つがあり、さらに法定後見は後見、保佐、補助の3つの類型(種類)があります。成年“後見”制度というくらいなので、まず最初に後見類型を思い浮かべる人が多いと思いますし、実際に後見は他の2つの類型に比べて利用者数が2.5倍ほどとなっています。

 

銀行預金の引き出しなどの際に代理人が必要となり成年後見制度を利用することになった場合に、とりあえずすべての代理ができる後見類型で申し立てるというケースが少なくありませんが、これは成年後見制度の理念である自己決定の尊重や必要性の原則(本人の権利に対する干渉は必要な最小限度に限られるという原則)に反していると言えます。

 

後見類型は日用品の購入その他日常生活に関する行為以外は後見人が取り消すことができ、後見人はすべての財産上の法律行為につき代理権を持ちます。言い方を変えれば本人の意思に関わらず後見人が代理をして契約をすることができるということになります。

 

これに対し保佐類型の場合は原則的には代理権はなく、借財や保証など重要な行為についてのみ保佐人の同意が必要であるにとどまります。つまり本人の意思により決定できることの範囲が広いということです。

 

補助類型の場合は保佐よりもさらに制限が少なく、申し立てにより裁判所が指定した行為について補助人の同意が必要になったり代理権が補助人に与えられたりします。そもそも補助類型は、申し立てに本人の同意が必要であるなど本人の意思がより尊重されていると言えるでしょう。

 

2019年4月1日に申し立てに必要な診断書の形式が変わり、普段本人と接している福祉職の意見が反映されることになりました。今までは「知的障害があるから後見」と本人の状態をあまり検討されずに類型が決定されがちであったのが、より現実に即した類型を利用できるようになることが期待されます。

 

現在は後見類型が約8割、保佐類型と補助類型が約2割とかなり偏っていたのが、今後変わっていくのではないかと思っています。補助よりも保佐、保佐よりも後見の方が本人に対する制限が大きくなります。認知症や知的障害のある方本人に適した類型を選択することが必要です。

 

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