こんにちは。
許認可申請と福祉の専門家、平松智実法務事務所の平松智実です。
成年後見制度について、任意後見と法定後見の関係について勘違いされていることがよくあります。
成年後見制度の利用の順序として
①任意後見
②補助(法定後見)
③保佐(法定後見)
④後見(法定後見)
となるのが原則です。
どういうことかと言うと、法定後見(②〜④)は判断能力がなくなってしまったが任意後見の契約をしていない場合に、法定後見を検討することになるということです。任意後見は法定後見に優先するという言い方もできます。
そして法定後見には補助、保佐、後見の3つのパターンがあり補助は判断能力が不十分な方、保佐は判断能力が著しく不十分な方、後見は判断能力を欠く常況にある方のために用意されています。
成年後見制度の勘違いとして、認知症や知的障害のある方は後見を選択するということが挙げられます。「成年“後見”制度」という名前なので結びつきやすいのかもしれません。
ただ、補助よりも保佐、保佐よりも後見は認知症や知的障害のある方に多くの制限がかかります。成年後見制度の理念である「ノーマライゼーション」「自己決定権の尊重」からも、適したものを選ぶべきでしょう。
法定後見のうち補助と保佐の利用は2割ほどです。その理由としては、補助や保佐に対する知識がないということも挙げられるのではないでしょうか。
「補助や保佐は後見とどう違うのか?」
「メリットやデメリットは何か?」
こういったことが明確にならなければ、補助や保佐を選択しづらいと思います。
成年後見制度全体についての正確な知識をもとに、認知症や知的障害のある方ご本人にもっとも適した制度を選択することが必要となります。