こんにちは。
許認可申請と福祉の専門家、平松智実法務事務所の平松智実です。
法定成年後見には「後見」「保佐」「補助」の3種類がありますが現状では「後見」の利用が約8割で保佐と補助はあまり利用されていません。知的障害があり後見人が必要となると本人の判断能力に関わらず、後見の申し立てをするという傾向があるようです。
後見はご本人にとっての保護が強い反面、制限されることも多くなるのが特徴です。判断能力を正しく評価して、ご本人に合ったものを選ぶことが必要となります。
後見の対象者は「精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にあるもの」です。事理を弁識する能力とは、行為と結果を認識できるする能力を指します。例えば、高いところから飛び降りる(行為)と怪我をする(結果)ということが常にわからない人は後見の対象者となります。
逆に言えば、行為と結果を理解できるのであれば、「保佐」または「補助」の対象ということです。もちろんこれをすべてのケースに当てはめることはできず、その他の事情で後見を利用することもありえます。ただ、知的障害のある方の親なきあとの問題、預金管理の問題などで後見制度の利用が必要だから本人の判断能力に関わらず「後見」の申し立てをするというのは適切でないと言えるでしょう。
2019年の4月から法定後見の申し立てに必要な医師の診断書を作成する際に、ご本人の日常及び社会生活の客観的な情報を提供することとなりました(本人情報シート)。これにより、「後見」「保佐」「補助」のどれが適しているのかを、より正確に判断できるようになります。
今後、ご本人の権利擁護という観点からも「保佐」や「補助」の申し立てが増加することが予想されます。知的障害のある方でも判断能力は様々です。成年後見制度の利用が必要=「後見」ではなく、正確にご本人の状態を把握した上で、「保佐」や「補助」を利用することも検討してはいかがでしょうか。
「保佐」や「補助」を選択してもその後に判断能力が落ちてしまった場合などは「後見」に変えることもできます。
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