こんばんは。
許認可申請と福祉の専門家、平松智実法務事務所の平松智実です。
今日は知的障害のある方の医療行為の同意についてお話します。
例えば、私たちが盲腸で手術を受ける必要があると診断された場合、手術の必要があるからというだけで医師が勝手に手術をすることはできません。手術には利益もありますがリスクもあります。そのため、手術を受ける本人が手術に同意をしないと手術をすることができません。
手術を受ける本人に知的障害があり判断ができないような場合は、本人の両親や兄弟姉妹などが代わりに同意をすることが一般的です。
もし、知的障害のあるご本人に両親など親族がいない場合はどうするのでしょうか。ここで後見人の医療行為の同意という問題ができてきます。両親など親族はいないが後見人がいない場合、医療機関は後見人に同意を求めることがあります。しかし、後見人には医療行為の同意権はありません。つまり、後見人は本人の代わりに医療行為をして良いという判断はできません。
本人が判断できず両親などの親族がいないケースでは、医療行為に同意する人がいないことになります。同意する人がいないということはその医療行為を受けることができないということです。原則からいえば医師が手術の必要があると診断しても手術に同意する人がいなければ手術はしないということです。
この、医療行為の同意者の不在ということが今とても問題になっています。後見人に同意権を付与する、または医師の判断で医療行為ができるようにするなど検討されていますが、まだ議論の段階です。
医療行為というと大げさに聞こえますがインフルエンザの予防接種なども医療行為です。医療行為の同意については成年後見制度を利用するにあたって注目しておかなければならない問題であるといえます。
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