こんばんは。
許認可申請と福祉の専門家平松智実法務事務所の平松智実です。
今日は成年後見制度の中の“保佐”についてお話します。
「精神上の障害により事理を弁識する能力が著しく不十分な者」について裁判所が申し立てにより保佐人を選任します。
判断能力が著しく不十分ではあるが、全くないわけではないという点で後見と異なります。
判断能力が著しく不十分というのは例えば軽度の知的障害のある方などが該当しますが、保佐人が選任された場合、ご本人の財産に大きな影響がある行為について保佐人の同意を得なければなりません。
【保佐人の同意が必要な行為】
1.元本を領収し、又は利用すること
→貸したお金を返してもらうこと、預貯金の払い出しをすることなど
2.借財又は保証をすること
→借金をすること、保証人になることなど
3.不動産その他重要な財産に関する権利の得喪(得たり失ったりすること)を目的とする行為をすること
→不動産を売却すること、お金を貸すこと、通信販売による契約をすること
4.訴訟行為をすること
→自分から訴えを起こすこと
5.贈与、和解、又は仲裁合意をすること
→自分の財産を他人にあげること
6.相続の承認若しくは放棄又は遺産の分割をすること
→相続すること、相続をしないことを決める、遺産分割協議をすること
7.贈与の申し込みを拒絶し、遺贈を放棄し、負担付贈与の申込みを承諾し、又は負担付遺贈を承認すること
→負担付贈与、負担付遺贈とは「○○をあげるから△△して」と言う契約
8.新築、改築、増築又は大修繕をすること
→これらの行為を目的とする契約などをすること
9.第六百二条に定める期間を超える賃貸借をすること
→樹木の植栽又は伐採を目的とする山林の賃貸借は10年、その他の土地の賃貸借は5年、建物の賃貸借は3年、動産(不動産以外)の賃貸借は6か月
これらの行為を保佐人の同意なしにした場合は取り消すことができます。
“後見”が日用品の購入その他日常生活に関する行為のみ自分だけでできるのに対して“保佐”の場合は上記の行為以外については自分だけですることができます。
ご本人の状態に合わせ利用する制度を検討する必要があります。
成年後見制度について、わからないことがあればお気軽にご連絡ください。